シマフクロウはなぜ減ってしまった?5つの原因
北海道に生息する世界最大級のフクロウ「シマフクロウ」。かつては北海道全域で見られましたが、20世紀後半に絶滅寸前まで数を減らし、現在も絶滅の危機が続いています。なぜ、シマフクロウは減ってしまったのでしょうか。この記事では、シマフクロウの基本、数が減った経緯、環境省が示す5つの原因をかんたんに解説します。
シマフクロウとはどんなフクロウ?
シマフクロウは、日本では北海道と北方領土に分布するフクロウです。全長は65〜70cm、翼を広げると約180cmにもなり、日本最大、そして世界最大級のフクロウです。
魚を主食に、大木の洞で暮らす
暮らしているのは、川や湖のまわりに広がる広葉樹の自然林や針広混交林などの森です。主食は魚で、両生類や甲殻類、鳥類、小型の哺乳類を食べることもあります。巣は、広葉樹の大木にできた樹洞(木の洞)につくります。
なわばり意識が強く、一年を通して同じ地域で暮らします。一度つがいになると長く連れ添い、30年以上生きる個体もいます。繁殖期に産む卵は1〜2個ですが、繁殖の成功率は極めて低いとされています。夜行性のため、人目にはあまりつきません。
アイヌの人々の「村の守り神」
シマフクロウは、アイヌ語で「コタンコロカムイ」(村を守護する神)と呼ばれ、アイヌの人々から愛され、敬われてきた神の鳥です。人々の暮らしと深く結びついた存在だったことがうかがえます。
豊かな生物多様性のシンボル
シマフクロウは、生態系ピラミッドの頂点に立ち、その種を保護することで他の生物も守られるアンブレラ種です。シマフクロウの暮らせる森を育むことは、生物多様性の保全にもつながります。
シマフクロウの生息数の変化
1900年頃には北海道全域で1,000羽以上いたと推定されていますが、1970〜80年頃には70羽程度まで減り、絶滅が危惧される状況になりました。[1]
その後、保護の取り組みにより、減少から少しずつ増加へと転じました。令和4年度(2022年度)には、道内で100つがい(200羽)が確認されています。ただし、生息地は道内の一部に限られ、約7割は、知床・根釧地域に生息しています。[2]
1971年(昭和46年)には国の天然記念物に、1993年(平成5年)には国内希少野生動植物種に指定され、環境省レッドリスト2020では「絶滅危惧ⅠA類」に分類されています。

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数を減らした5つの原因
環境省は、シマフクロウが減った原因を次の5つに整理しています。
1. 農地・都市などへの土地利用の転換
シマフクロウは、川や湖のまわりの森に棲む動物です。その森が農地や都市などに変わったことで、暮らせる場所そのものが減りました。
2. 大規模な森林伐採
大規模な森林伐採によって、生息環境とともに、巣をつくる木(営巣木)も失われました。シマフクロウは広葉樹の大木にできた洞に巣をつくるため、大きな洞のある木が少ない森では、繁殖の場所が限られてしまいます。

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3. 交通事故・感電事故
道路での交通事故や、電線での感電事故など、人の活動に伴う事故も、減少の要因になっています。このほか、漁網にからまってしまう事故も、要因のひとつとして挙げられています。
4. 生息地への人の入り込み
人が生息地に立ち入ることも、繁殖に影響を与えています。シマフクロウは繁殖の成功率が低く、親鳥が強いストレスを感じると、営巣や抱卵、子育てをやめてしまうおそれがあるためです。
5. エサとなる魚の減少
河川改修やダムの設置、水質汚濁、河口でのサケ・マスの漁などにより、エサとなる川の魚が減りました。主食である魚の減少は、シマフクロウの暮らしに大きく関わります。

原因を知ると見えてくること
5つの原因は、どれも土地の使い方や川の整備、漁業、交通など、人の暮らしや産業と関わりのあるものです。だからこそ、私たちが知り、関わり方を見直していくことが、シマフクロウを守る第一歩になります。
約40年にわたり、環境省や林野庁などの国の機関、地方自治体、民間団体、専門家、市民が連携して、保護の取り組みを続けてきました。その積み重ねで個体数は少しずつ回復していますが、生息地は限られたままです。生息地を広げる取り組みが、これからの大きな課題とされています。
シマフクロウを守る取り組みについては、こちらの記事で紹介しています。

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サステナブルなTシャツやフーディなどを提供するHouse of Owls(ハウスオブアウルス)は、売上の5%をシマフクロウの保護活動に寄付し、保護・保全に取り組むNPO法人シマフクロウ・エイドを支援しています。
出典
- 北海道「シマフクロウの森」の再生(北海道庁) https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/simafukurou.html
- 環境省 北海道地方環境事務所「シマフクロウの概要」(令和7年12月発行) https://hokkaido.env.go.jp/content/000378616.pdf
- 環境省「シマフクロウと共に暮らす」 https://policies.env.go.jp/hokkaido/withfishowl/
- 環境省 北海道地方環境事務所「シマフクロウ放鳥手順」(平成26年3月) https://hokkaido.env.go.jp/content/900146332.pdf
- 環境省「シマフクロウ」(保護増殖事業の概要ページ) https://www.env.go.jp/nature/kisho/hogozoushoku/shimafukuro.html